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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第134号       ’02−04−19★

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     基本的欠如

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   ロレインはちょっと考えてから、ゆっくりと口を動かして数語を

   発した。 唇の伸縮機能はあらかた失われていて、話者の意志に

   ほとんど応えようとしなかった、、、

 

   「きみに会えてうれしい、そう言ってるんだ」と、ロビーが通訳

   した。 文字によってはもう発音できないという----代表的なの

   が<l>だった。 彼は妻を見てにやりと笑い、かるくその手に

   触れた。 「わたしはジャップよ、が彼女の口癖さ」

 

   、、、しばらく頑張ったが、やはりlがrになった。 (p.118)

 

スコット・トゥロー1999年の作品、邦題<囮弁護士>の一節。 処女作

<推定無罪>以来どの作品も、筋立てがリアルなだけでなく人物や心理

の描写が実に的確細密、、 その著者が

 

こともなげに<ジャップ>。 どうやらアチラでは、<lとrの区別も

出来ない日本人>という、やや軽蔑的な認識が普通らしい。

 

 

嗤われるのは癪だが、日本語のラ行はその中程。 ラリルレロと聞こえ

さえすれば何ら支障なし、という文化で育った日本人にlとrの区別が

基本的に欠けているのは当たり前です。

 

ロレインはALS(筋萎縮性側索硬化症)で身体の機能を失いつつあり、

前記はその憂鬱を紛らわすためのいわばジョークですが、つまり我々の

喋る英語は難病患者並み。 それを恥じても始まらないが、

 

あいにくグローバル社会は英語天下。 <l、r>に限らぬ言語的不利

をDNAに刻み込まれた我々は、少なくともその分、英語人種より余計

に努力しなくちゃ、、 とは言うが、そのための時間の余裕なんか、、

 

無いでしょう。 なら、<ジャップ>英語で行くほか無い。 けれども

ビジネスでは軽蔑されずに済ませたい、、なら、第一に思考の周波数を

彼らに合わせ、第二に彼ら同等以上の<論理力>を発揮することが必要。

 

それを可能とするのは、、、もちろん Rational Process 。 おやまあ、

今回は初めからCMになってしまいました。 しかしこれは、<基本的

欠如>があっても時には<技法>で補える、というお話です。 つまり、

 

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●日本語という<ツール>

 

に内蔵された<不十分>が身に着いた不幸?だから、どうしようも無い。

しかしツールの不備なのだから、別のツールで補強することは可能、と

いうこと。 絶望する必要はありません。 ところが、その奥にある、

 

たとえば気質や性格のような、<人間の本質>部分の不具合となると、、

ツールでの補強は利きません。 いかに Rational Process でも、です。

 

ただし本人が不具合に気付いて、何とかしようと一念発起した場合には、

その努力を効果あらしめる方法として Rational Process が何より有効

であろうことは言うまでも無い、、

 

 

はリクツで、その現実的可能性は高くありません。 まず自分の不具合

に気付くことが滅多に無い。 もし気付いても、今さら変われない、と

諦めてしまう。 漸くその気になっても、<方法>的には考えない、、

 

考えたとしても、人間は千差万別。 <本質>も<欠如>も各人各様で、

誰にも役立つ良い方法、など無い。 幸い何か方法が授かったとしても、

すぐには効果が生じない、ガマンできない、続かない、、

 

即ち性格的不具合は<補いようの無い基本的欠如>。 やや絶望的です。

この国が近ごろサッパリ良い方へ向かわないのも、リーダーたちの多く

が<それ>だからです。 そして彼らに最も欠けているのが

 

<決断力>、またはそのもとになる<勇気>。 そうリキまずに言えば、

<知的好奇心>。 「森の中の分かれ道で、私は敢えて人が行かない方

を選ぶ」ようなヘソ曲がりは少なく、普通は人々が行きそうな方を選ぶ。

それで済むことばかりじゃないからリーダーが要るわけで、即ち

 

リーダーとは、みんなが尻込みする時「敢えて、、選ぶ」人。 (石原

都知事、<銀行>に負けないでくれ!  田中知事、ダム工事はその後

どうですか?) ところがあいにく、断固たる主張で人々を奮い立たせ、

 

良き方向へ導こう、と振る舞うリーダーは当今きわめて希、困ったこと

に<反面教師>ばかり。  辞職した加藤紘一元議員もその一人でした。

 

 

東大在学中に外務公務員上級試験合格、当然外務省に入り、ワシントン

勤務中ハーバード大修士課程修了、、 アタマは良い。 8年で役人を

辞め、9年目に代議士。 2年後、早くも自民党国際局次長。 さらに

 

4年後、第一次大平内閣の内閣官房副長官。 要領も良い。 トントン

拍子で要職を歴任して<プリンス>。 あの<乱>までは<総理の座に

最も近かった男>。 尤も私はノンポリ、そんなことに関心は無かった。

 

ただ、彼の前に宏池会会長だった宮沢喜一元首相の<クラゲの骨なし>

ぶりが大嫌い。 その骨なしが指名した後継者だから、多分性格も、と

いう否定的な先入観を抱いていた程度でしたが、、 それを

 

彼自ら<乱>で裏付けてくれたのは、はて、喜ぶべきか、悲しむべきか。

自信ありげだった彼が一転腰砕け。 何と見通し甘く、圧力に弱いこと。

それにしても本気なら、男一匹、断固突入すりゃ良かった、、

 

のに、「大将なんだから、、」と押し止められ、半ベソかいて立ち往生。

大将だから先頭に立たなきゃ、が流儀だった私の目には、大写しされた

彼の表情がただただ見苦しかった。 

 

*   *

 

それまでも、その時も、彼の優柔不断は周知の事実だったのに、それを

<大将>と持ち上げた連中の気が知れない。 よほどカネもらわなきゃ

出来ないことだが、そのカネがどんな風にして集められていたのか、、

 

が露見しても彼は平然。 私的流用疑惑に対しても世間では通用しない

屁理屈で応じ、ついには「総理になれないことがハッキリしたのが最大

の収穫」(異議なし!)とまで言われた<日本一優柔不断男>。 その

 

実態を「あまりに多くを知るがゆえ、考えるうちに時間が経ってしまう

結果」と解説する人もいる。 へえ? 情報量過多で、捌けずにいた?

<金縛り>だね。 知識あれど行動なし、まさに宮沢先輩譲り。

 

プラグマティズムのアメリカの、あのハーバードで何を学んだのやら?

国益を懸けて異国人と戦う(はずの)外務省にいた時、情報の捌き方を

少しは習わなかったのかね?

 

この時代、彼の立場、情報量が膨大であろうことは容易に想像されます。

それらを捌いて長期・短期、最適の判断を下すべきなのに、それが出来

ない? やれやれ、<政策秘書>以下、ではあるまいか。 しかしもし、

 

MUST や WANT が明確なら案は立つだろうし、その同じ MUST、WANT で

各案の特徴部分を評価すれば、良否判別は容易。 もちろんマイナス面

も吟味して、、 たとえアバウトでも説得的な解がすぐ出せるだろうに、、

 

と考えると、彼の優柔不断は MUST、WANT の不明確、より大胆に言えば

MUST 不在>が原因でしょう。 即ち<哲学>とか<志>と言われる

ものの決定的欠如。 さらに言い換えればIQではなく、EQの問題。

 

判断を下すには<見切る>ことが必要で、そこに情緒も絡んでエイヤ!

これが<決断>というものでしょうが、彼にはそれが常に欠けていた。 

情報通ではあっても人間通ではない、即ち役所向き、<政治家>不向き、、

 

と切って棄てるまでだが、彼だけを蔑むのでは不公平。 たとえば

 

*   *   *

 

自称教育産業の社長で、<いかに速やかに決断を下すか>について本も

書いたという人をよく知っていますが、実は彼、<決断>しない、いや、

出来ない人。 「キチッと解を出す」が口癖なのに、一度として出した

のを見たことが無い、、 ブラック・ジョークではなく、ホントのお話。

 

それほどでなくとも普段威張る割に決断できない、従って部下から尊敬

されていないトップや管理職はどこにもいます。 いずれも、明らかに

EQ少々難ありの人。 相手に対する誠意や「千万人といえども、、」

の勇気とか、リーダーに本来<あるべき>資質が無い人たち。

 

  折しもの<みずほ>トラブル。 ホールディング社前田社長の頼り

  なげな顔、詫びにならない挨拶。 誠意も勇気も漂わせないあんな

  <本質的欠如>がトップだったの? 見て、かえって不安になった。

 

そんなのがどうしてその地位に就けたのか? と不思議ですが、そこが

ダメ時計日本のダメなところ。 マトモじゃ昇進できない、ダメでなく

ちゃダメなんだから。 世のまともな人たちよ、ご同情申し上げます。

 

  銀行トップのダメさ加減については第14号をバック・ナンバーで。

 

たいしてお役に立てない「おたすけマン」で申し訳ないが、ご相談には

心を込めてお相手しております。 しかし問題が<本質的欠如>に関連

する場合は、いきなり Rational Process には入れない。 前がある、、

 

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●<本質的欠如>上司に仕える

 

<まともな人>は真面目なだけに悩みます。 しかし、相手をどうこう

出来るものではない。 それだけに悩みは深い、日々深まるばかり、、

 

という場合「おたすけマン」は、まずその状況を素直に受け容れること

をお勧めします。 お釈迦様の教え<四諦>の第一は<苦諦>。 即ち

人間、この世に生きていること自体が<苦>なのだ、と知ることです。

 

そう腹を決めれば、次は<苦>の原因究明。 第二番目の<集諦>です。

原因はあなたの欲望と執着。 理想的な上司であって欲しいという望み

は捨てる、相手へのこだわりも捨てる、の三番目は<滅諦>と申します。

 

尊敬しにくいがあれはあれなり、一生懸命やっているんだ、と見るわけ。

しかしあなたはあなた、ダメ上司の分、余計シッカリしていなくちゃ、、

それには<正しい道>の実践あるのみ、第四<道諦>。 具体的には

 

<八正道>。 その第一が正見、正しくものを見ること。 第二は正思、

正しく考えること。 ほーら、 Rational Process の出番が来ましたぞ。

手順やワーク・シートに沿って見たり考えたりすれば、それが正見正思。

 

 

僧侶でない「おたすけマン」、<四諦八正道>そのものを振り回すこと

はしませんが、そんなやり取りのうちに Rational Process へ誘い込む

という手口?は釈迦もどき。 お互い、悟りを開きましょうよ、と。

 

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家庭および学校における戦後教育の具合悪さは、<本質>抜き<技法>

本位だったところにあります。 <ゆとり教育>がそれをどう補うのか、

もちろん私は楽観していませんが、、

                          ■竹島元一■

     ■今週の<私の写真集から>は ★一見画家風★

 

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